空調や換気設備を適切に維持・管理する上で、避けて通れない「プレフィルターの清掃・交換」。

現場の安全を守り、設備の能力を100%発揮させるために、「手動式昇降FC(フィルターチャンバー)」を開発しました。

かつて主力としていた「換気制御システム」の現場から、いかにしてこの昇降式フィルターに着想し、特許技術へと結実していったのか、その歩みをご紹介します。

1. 原点:換気制御の現場で目撃した「ヒヤリハット」

開発のすべての始まりは、「換気制御システム(ELシステム)」を手掛けていた時のことでした。

ある現場で、屋外の給気用ウェザーカバーに付いたフィルターを交換するため、社員が側溝と外壁のわずかな隙間に脚立を立てて作業している姿が目に留まりました。

足場は極めて不安定で、周囲に補助する者もいない単独作業です。

その場で注意を促し安全を確保したものの、やはり危険な作業だと感じ、問題意識が生じました。

「その場しのぎの注意だけでは、根本的な解決にならない。 仮に、作業中に軽度な地震が発生したとすれば、不安定な脚立では転落事故に繋がってしまい、安全に対する認識を根本的に見直さなければ成りません。

換気制御システムを手掛けながらも、「フィルター清掃の高所作業が要らない仕組みが無いものか」という想いが芽生えた瞬間でした。

2. ジレンマ:ダクト立下げと車両接触事故

高所作業をなくすため、最初に取り組んだ対策は「外壁面にダクトを立ち下げ、手の届く低い位置にフィルターを配置する」ことでした。

この方法で、地上から安全に作業できるようになりました。

しかし、良策だと思っていた解決策が、その場所つまり荷捌き場では、別の問題を浮上させることになりました。

敷地内を行き交うフォークリフトや搬入車両が、外壁面に立ち下げたダクトに接触する事故が頻発したのです。

外壁面に接触物が存在すると、その物自体が破損してしまい、接触のたびに補修工事に追われ、やむなくフィルターは再び元の危険な高所へ戻さざるを得なくなりました。

「作業の安全性からすれば、地上近くでメンテ作業をして貰いたい処なのだが、荷捌き場の外壁面では車両接触というリスクが生じる」

このジレンマを打破するために辿り着いたのが、「通常時は邪魔にならない高所に収まり、メンテナンス時だけ地上へ下りてくる【昇降式】」という着想でした。

3. 街なかのテントから着想した「電源不要(手動式)」のブレークスルー

昇降式フィルターを実現するにあたり、最大の課題となったのが「動力とコスト」でした。

電動モーターを採用すれば昇降は簡単ですが、外壁に多数点在する給気口ごとに電源配線やスイッチ盤を設けることになり、設置台数に等しい電気工事費用が発生し、コストがかさめば現場への普及は望めません。

「電気を使わず手動で安全に、しかも簡単に昇降させる方法はないか――」

何か良い方法は無いものかとウェーブを検索していた処、商店街や店舗の軒先にある「日よけテント部材の文字」が目に留まりました。

テントの多くは、長いハンドルを使った手動操作で開閉し、その駆動部に使われていたのが「ピアアクター」と言う商品名の「ウォームギヤー」でした。

このウォームギヤーは、縦回転を直角方向にスムーズに伝えるだけでなく、「出力側からは逆回転しない(セルフロック機能)」という特性を持ち、更に、複雑なブレーキ機構を組み込まなくても、巻き上げ途中で手を離しても落下しない、まさに昇降機構にピッタリの部材でした。

こうして、電源工事不要で高い安全性を誇る「水平型昇降フィルター」が完成し、某大型店舗への初納入を果たしました。

4. 🛠️ 屋内直通ダクトの壁「縦型の空気漏洩」と特許取得(第7747363号)

昇降式に専念し次に挑んだのが、屋内ダクト途中にあるフィルター昇降への展開でした。

しかし、屋内直通ダクトに組み込む「縦型」には、【空気の漏洩(バイパス現象)】という極めて高いハードルがありました。

1次空気処理(外気取入)において空気漏れが起きると、隙間から害虫や粉塵がすり抜け、後段の高価な中高性能フィルターや熱源コイルを早期に汚染してしまいます。

そこで辿り着いたのが、「機械的に本体から押さえ込むのではなく、【反作用】を利用して目的のフィルター枠を自然かつ強固に押し付ける」という独自の機構でした。

2次空気側を押さえる反作用により、気流の入口側(1次空気側)でフィルター枠をピタリと密着。

粉塵や害虫のすり抜けを最前線で遮断すると同時に、2次側に配置した「ワイヤー巻き取りボビン」を汚染空気から完全に守り、常にクリーンな状態を維持するという極めて合理的な構造を確立し、特許第7747363号を取得しました。

さらに、現場での実用性を極限まで高める工夫も凝らしています。

5. 💡 現実の換気量に直面――「換気制御」から「昇降式」への転換

本業だった「換気制御(CO2や雑ガスセンサーによる外気負荷抑制)」は、省エネによる評価も得られ、勿論現在でもZEB評価基準として、WEBPRO未評価技術23項目の一つに「CO2濃度による外気量制御」として挙げられています。

私自身で換気設備と制御の設計原案を纏め、ある建築設計会社様と共に作り取り組んでいました。

その後、何件かのお客様から問合せを受けた時、それら竣工図書を調べていると、不都合な真実に直面しました。

建築検査済証が受理されている建物であるにもかかわらず、「法定換気量にも満たない換気設備」が、数多く存在していたのです。

何故そのようなことが生じるかと言いますと、確認審査を実施する側では完全に把握しきれない、送風機の静圧能力の決定と言う部分です。

送風機の静圧能力の決定は、設計者の技術的判断に委ねられますが、静圧計算上の誤記載や集計漏れを犯さないとは限りません。

仮に、その誤記載や集計漏れが施工段階で、施工者や設計者により見つけたとすれば、その時点で問題は解決されます。

しかし、見つけられ無ければ、そのまま建築物が竣工されてしまいます。

結果として、改めて竣工図書を読み取ると、法定換気量にも満たない換気設備が見つかり、建築基準法で定めらた換気量にも満たない換気設備が、見過ごされたまま竣工してしまっています。

間違った換気設備の一例
▲ 間違った換気設備の一例

法定換気量が満たされていれば、換気制御による省エネ効果は十分発揮されますが、ベースの換気量が満たされていない換気設備では、いくら高度で高額な制御方式を設けても、無駄な投資にしか過ぎません。

建築基準法施行令の20条2に、居室の換気量算出式が記載され、言い換えればその目的は「人の健康を守る為の最低限の換気量を定めた法律だというです」

おわりに:基本性能を正しく発揮させ、現場の安全を守る

手動式昇降FCは、机上の計算ではなく、「現場作業員の転落リスク」「車両接触事故の苦い経験」「設備設計のリアルな実態」から生まれた製品です。

高所作業の危険や手配コストをゼロにし、地上から誰でも手軽にメンテナンスができる環境を作ることで、フィルターの目詰まりを防ぎ、設備本来の静圧・風量と熱源能力を安定して発揮させます。

製品の詳細や実仕様、導入による費用対効果のシミュレーション(ROI)等については、株式会社ネオテックまでお問い合わせください。

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【追記・更新情報】

・2026年8月24日:ブログ第2弾「【開発秘話】手動式昇降FC誕生の軌跡」を公開しました!
・2026年8月18日:ブログ第1弾「高所でのフィルター清掃に潜む危険とコストを解消」を公開しました!

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